グッバイEDM。愛を込めて
なんかのタイアップで聞いたSkrillexに衝撃を受けて以降約5年間、EDMシーンを追い続けてきた。
Skrillexキッズだった俺は、同じダブステップのXilentやKnifePartyに行き、Jack U経由でDiploに目覚めソロ作品やMajor lazerを猿のように聞き始めた頃にはヒットチャートも触り、ビッグルームハウスの重鎮であるCalvin HarrisやDavid Guettaに…と沼に嵌っていた。
別の趣味の影響も相まってクラブに行く回数も増え、海外DJが来ると聞けばソロであっても仕事帰りであっても足を運ぶ。新譜が出れば即聞き、ジャンル内のビルボードは俺に聞かれた順に載った。
そんな俺がこの数ヶ月ほとんど聞いてない。
意識してるわけではないんだけど聞かなくなった。なんでなんだろ。
- そもそもEDMって何なんだよって話
音楽業界わけわからん単語をわけわからんまま使うのやめろや。
EDMを一曲も聞いたことない人がいると思うので有名な一曲を聞きながら読んで。
Calvin Harris - Let's Go (Official Video) ft. Ne-Yo
壁ドン食らう位の音量で聞け
上でも挙げたEDM界の重鎮Calvin HarrisがNe-Yoをフィーチャーして作った曲。
これまたEDMの中の最大ジャンルであるビッグルームハウス、と紹介するのにうってつけの曲。クラブでもめちゃめちゃ流れるし。
さて、EDMってのはまぁ簡単に言うとジャンルの1つなんだけど、
音楽のジャンル(ロック、ポップス、ジャズみたいなの)じゃなくて、もっと広いレイヤー。
邦楽と洋楽みたいな括りが近いのかも。
「邦楽」という「日本で作られた曲」の中にロックやポップス、ジャズといった細分化がある。
EDMも同じで、「EDM」という「シンセとかが多用されたダンスミュージック」の中にハウスみたいな王道から、静かで癒やされるトロピカル、はたまた酷くうるさいダブステップなんてやつまで内包されてる。
それぞれにロックのエッセンスが入ってたり、完全にポップスとされてるようなものまで千差万別。
全部が全部ヤバTの曲みたいなウェイウェイしてる感じではない。
(ちなみにウェイウェイしてるの聞きたかったらバウンスで検索しよう)
そんなEDMですが、言葉の意味もよくわからないことはおろか、EDMを聞いたことが無い人も日本には多い。
桑田佳祐の歌やポプテピピックでネタにされるほど、理解が出来ない若者言葉としてのポジションに落ち着いてる。
ZeddのBeautiful NowやSkrillexのBangarangがCMに使われたりとTVでも少し聞くことは増えてきたけど、圧倒的に日本で流行らない。
いろいろ理由はあると思うけど、まあサビで歌わないってのが一番かなって思う。邦楽といえばAメロ→Bメロ→サビ(一番の盛り上がり)って感じから逸脱してる曲を見つけるほうが難しいくらいだし。
まあつまらんよね。カラオケで歌えないし。
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DJの存在意義
DJという言葉は広く知られているが、なんか機械の前でディスクを回している人、という印象が強いと思う。
現代におけるDJという言葉は二種類ある。
一つは上で言ったような、ディスクを回している人。
これは俺がDJを説明する時によく使う例えだが、
である。
いろんなアニソンやゲーソンの流行っているものや象徴的なものから、サビだけ抽出したりテンポを変えたりして一曲の曲にする。これを即興で行うのがDJ。
ライブでのDJは、基本的には既存にある曲を繋いで90分程度流し続ける。
今日の客層ならどんな曲をかけるかとか、この時間ならゆったり目とかを選ぶ。
またその中で例えば2つの曲のBメロとサビをそれぞれ順番に流して全く別の曲にしたり、
同時に2つの曲のサビを混ぜ合わせたり、
既存の曲に様々なエフェクトをかけて雰囲気を変えたり。
その選曲やアレンジにそのDJの腕が出るわけ。
書いてて思ったけど、バンドとかよりフリースタイルラップや落語家に近いかな。
「DJ」が持つもう一つの意味は、日本で言う「プロデューサー」と「作曲家」を混ぜたようなもの。
DJが作った曲を、歌手に歌わせて、自分の曲ft.歌手として発表する。
特に昨今言われるような海外のDJというのはこっちの側面のが強い。
自分のライブではまったく曲に触らず、CDのそのままダラダラ流すだけのプロデューサーDJが多い。その辺は結構批判されている。
ライブイベントに言っても「あれ?これこの前のイベント動画で聞いた繋ぎだぞ?」とか思うことがザラ。
もっと悪口がみたきゃトップDJの一人、Deadmau5のツイッターをチェックだ。年中PMS。来年あたりKAMIKAZEってタイトルのゲリラCD出すと思う。
- A-trakというレジェンド
そんな中でも本来のライブDJとして素晴らしいDJは何人かいる。
A-Trak Ray-Ban x Boiler Room 016 Turntablist Set
A-trakはライブDJの最右翼。
元々DJバトルの大会での常連。曲はなかなか書かないし出しても対していい曲ないんだけど、ライブは圧巻の一言。技術の高さがピカイチ。
この動画がライブDJプレイ初視聴の人は、これが普通と思うともうこのジャンルのライブ行けないから勘違いしないでね。
そんなA-trakが今年の7月に来日した。渋谷Visionという俺の大好きな箱。
今まで様々な海外トップDJのライブに行ったが、別格すぎた。
今の俺が音楽に求めているのは耳障りのいい曲じゃなくて、技術の高さという絶対的な技術を土台とした演奏の素晴らしさなんだなぁって実感した。
CDを繋いでるだけのトップDJの中からA-trakを見つけ出す必要なんてない。
上手いギター、上手いベース、上手いボーカル、上手いドラム。こんなわかりやすい音楽があるんだから、そっち聞きたくなっちゃった。
- Aviciiの死去
さて、全くEDMが流行らない国日本。
そんな日本でもよく知られているDJがいる。AviciiことTim Berglingである。
Avicii - Wake Me Up (Official Video)
17億再生ってなんだよ。引くわ。
興味ない人も一度は聞いてるはず。
それまでクラブでかかる曲というイメージだったEDMを、カントリーと融合させた斬新さ。EDM最ヒット曲と言っても過言ではない。
出る曲すべてがヒット。20歳強で世界のトップへ上り詰めた。
もちろん俺も例に漏れず彼の虜だった(というかクラブいきゃ絶対かかってんだから嫌いになるわけない)。彼のクローンのようなDJまで聴き漁った。
そんなAviciiが今年の4月に死んだ。
2014年頃から健康問題で来日を中止したり、そもそもライブ活動から引退したり、不安定な面はあった。
しかし、時間を置いて昨年の8月にリリースした新譜「AVĪCI (01)」の内容は
そんな不安を払拭させるような出来であり、誰もが復活したと考えた。
死因は明らかにされてないが自殺とされている。
業界のトップをひた走ってきたスターの死去であっても、このジャンルの終焉とは結びつかない。だがTimの新曲をもう聞けないというのは、心が離れてしまうのに十分な理由なのかもしれない。
- でも好き
聞かなくなったって言ったけどあれば嘘だ。新譜を追わなくなっただけ。
アホみたいな低音を出すクラブで朝まで聞きながら酒飲んでるのも楽しいし、
飲み会の帰り道に大音量で聞いて踊りながら帰るのはひたすらに気持ちいい。
でも今はこの5年くらい全く聞いてこなかった邦ロックを聞いてみようと思う。
学生の頃聞いたRAD、事変、9mm、時雨、バンアパらへんが最後の記憶。ワンオクやアレクサンドロスもほとんど聞いたことないから今から聞くのが楽しみ。
でも今後もEDMの好きなDJの紹介とかはしていきたいなー
よーわからんパリピ向けの音楽として扱われるのはもったいないからね
次は渋谷Visionで会いましょう。